Dear Father of Heaven 〜自由を愛したあなたに聞きたい〜

今日、香港の「リンゴ日報」という新聞が、約25年の歴史に涙色の幕を閉じた。香港市民の心の拠り所として、市民の知る権利に寄与する報道の自由の旗頭として、その功績を築き上げて来た。その凛々しい大木が、中国の押し迫る台風によって、根こそぎ倒された。最後の新聞を手にしたいと行列をなした香港市民の心の淵を思う時、「何故、こうなる!」と自分の中には怒りどころではない感情が込み上げて、熱いものが物が滲むくらいに流れ落ちた。自由の中にどっぷり浸かり、その本当のありがたみも解らない自分は、本当に「自由」を求めて、闘い続けて来た彼らの心に、せめても近づきたいとこれを記している。

 親愛なるお父ちゃんよ。「自由」をいつも心の中で問い続けていた、俺の大好きなお父ちゃん。俺の問いに答えてくれ。

「自由があるからこそ、人間だろう。自由が奪われたら、生きる屍だ。そうだろう?」

「そうだろうな。でも、強大な権力には抗えないかもな。」

「そんなこと言うなよ。なんとかなると言ってくれよ。諦めなければなんとかなると。」

「それが理想だな。でもな。世の中には、どうにもならない存在もあるかならな。」

「どうにもならない存在だろうが、歴史はそれを覆して来た事実があるだろうが。」

「そうだな。確かに、人々の思いが厚い壁を叩き壊した歴史はあるかもな。ベルリンの壁崩壊とかな。」

「そうだろう。だったら、香港にだって、それが出来て然るべきだろう?香港の人達だって、このまま頑張れば、陽が差す時も来るとさ。」

「そりゃ、そうだな。でも、相手が大き過ぎるな。思い出してみろ。あの天安門事件を。中国は、自国民を戦車で踏み潰したんだぞ。それなら、香港の人達を、どうにかすることなんて簡単なことなんじゃないのか?」

「現実に目を向ければ、そうなるかも知れないよ。でも、俺は、香港の人達の未来に一筋の光が差すことを信じたいだけだ。遠い日本からだけど、頑張れ〜とエールを送り続ける。」

「(笑)」

「何笑ってるのさ?」

「いや、そういう気持ちを持ち続けてあげることこそが大切なんじゃないのか。香港の人達のことをずっと忘れずに思い続けてあげることがさ。」

「そうか。なるほど。ありがとう。いくらか気持ちが落ち着いたよ。」

「そりゃ、よかった。話したい時はいつでも呼んでくれ。話し相手なるからさ。」

「うん。」

ミャンマーだって、軍事政権に対して、国民が必死になって抵抗している。自由を求めて。

俺も、ここから、抵抗の意味を込めて、三本指を突き立てよう!頑張れ、心は一緒だと。